平日は、フリーペーパーを制作する広告制作会社に勤める一方、土日は飲食店で働く新井さん。 大手メーカーグループからの転職、縁もゆかりもない土地、母と弟を地元に残しての移住というハードルを乗り越え、鳴門市にIターンを決意しました。 彼を突き動かしたのは、先に地域おこし協力隊として鳴門に移住していた高校生時代の友人との約束。県民性の違いもあり、戸惑いの多い日々を送りつつも、地元住民の助けもあって徐々に自分の夢に向けて歩き出します。 「自分を受け入れてくれた鳴門のためにも、一つでも恩返しがしたい。」 友人との約束、自分の夢の実現に向けて休みなく奮闘する彼の笑顔は充実感で満たされていました。
なぜ、鳴門市に移住?
愛知県出身で27歳までのほとんどの期間を地元で過ごしたこともあり、徳島県・鳴門市とは全く接点がありませんでした。 移住のきっかけは、アグレッシブの塊のような高校生時代の友人の存在です。彼とは高校生の頃に知り合い意気投合。英語が全くできないのに二人だけで、アメリカに1か月間ホームステイして、ニューヨークのインターナショナルスクールに通うなど、同じアグレッシブな人間なので波長はすごく合いました。
そんな友人と「将来一緒に仕事をしよう。」と高校生の頃に約束をしており、彼が先に地域おこし協力隊として3年前に鳴門市に移住して、演劇や釣りを中心に地域で活躍している話を聞いており、自分も「いつかは鳴門へ!」と思っていたのが、きっかけです。 漠然と30歳までには何者かになりたいなと思っていて、だったら3年は準備期間がいるだろうということで、27歳になったタイミングでこちらに移住してきました。
実際のところ住んでみてどうですか?
前職は残業も多々あったんですが、今は夕方には帰宅して家事・食事を早めに済ませて19時頃からプライベートタイムを過ごしています。通勤時間も車で10分くらいなので、時間にゆとりのある規則正しい生活に変わりました。海の見える大きな公園の近くに住んでいることもあって生活面ではとにかく快適です。住んでいるエリアが、コンビニしかないんですが、車で10分も行けば大型スーパーもあるので普段の生活に不自由はないです。
休日はどのように過ごされていますか?
実は40個ほどのマイボールと生活するくらいボウリングが大好きで、前々職もボウリング場勤務でした。移住したての頃は、ボウリングやドライブなど趣味に費やすことが多かったんですが、自分の将来の夢のひとつであるキッチンカー運営を目指して、最近は飲食店でも働くようになって、休みがなくなっちゃいました(笑)。
鳴門に住んでいて物足りないと感じたところはありませんでしたか?
生活していて感じたことはありませんね。都会と比較すると個人でされている飲食店をみんなが支えているからなのか、大手飲食チェーン店があまりないところや、若者向けの映画館やアミューズメント施設がないところですかね。
本当はあるんじゃないですか?
ないですよ(笑)。強いて上げるとしたらですが、将来友人とビジネスを始めたいという気持ち、アメリカ留学の影響もあってキッチンカーを運営してみたいという気持ちがあって、色んな現場で経験を積みたくて、あえてアルバイト契約にさせてもらっているので、生活に余裕が少ないところですかね。実家暮らしから一人暮らしに変わったこと影響も大きいですが。
土日も働いていて疲れませんか?
アメリカに留学したころに、様々な国籍・文化・考え方を持っている人達と話す機会もあってか、人と接する仕事がしたいとずっと思っていたので、メーカーグループ勤務の頃のように機械と接する仕事より充実感はあって、あまり疲れは感じないです。ただ、趣味のボウリングが全然できてないのがつらいです(笑)。
仕事はどのように探されましたか?
普通は、ハローワークとかで探すと思うんですが、友人の紹介を経由して、今の広告制作会社の社長と知り合うことができてそのまま就職しました。仕事が決まらないまま移住の話を進めていたので不安はあったんですが、友人には感謝しています。
どのような仕事をされていますか?
鳴門市内の全戸に配布しているフリーペーパーの制作会社では、市内で活躍する方のインタビューやイベント行事の取材・撮影・誌面の記事作成をしています。作文は昔から好きだったんですが、記事となるとそうはいかず、特にインタビューはお聞きしたお話を一人称に直しつつ、その方の人柄も表現しなければいけないのがとても難しくて…日々勉強です(笑)。でも、地域で頑張る色んな人に出会えると人脈も広がるし、知らない世界の話を聞けるといい刺激を受けます。カメラは初めてで撮影するのに時間がかかってご迷惑かけることも多いですが、皆さん笑顔で待ってくれます。
また、飲食業として鳴門市内の唐揚げ屋さんに、制作会社の社長の紹介で雇ってもらっています。こちらでは調理・接客の傍ら、ソースなど新商品の開発にも携わらせてもらっており、本職と同じくアットホームな職場ですごく居心地いいです。
仕事が決まったとなると順調に移住された印象ですが?
実は家族の説得に苦労しました。自分ではやりたいことに挑戦したいという気持ちが強かったんですが、地元や、実家に残って欲しいという母の想いもすごく理解できて。ことあるごとに話をしてなんとか説得しようとしたんですが、結局駄目でした。最後は引っ越しした日に名古屋から母を呼び寄せて、社長たちと一緒に新居で一緒にごはんを食べてなんとかOKをもらいました(笑)。
地元の人に助けられながらも努力されているんですね。
鳴門の方は本当に優しく懐の深い方が多いんだと思います。そのわりには案外すっぱりしていて、一見ドライな感じですが、仲良くなるとすごい面倒をみてくれるので、感謝しています。縁もゆかりもない自分のことを快く受け入れてくれた地域の人たちと街に少しでも恩返しがしたいので、友人とのビジネスや、キッチンカーという自分の夢が、鳴門の新しい風となって、たくさんの人に鳴門のことを知ってもらい、できたらたくさん若い人に住んでもらいたいですね。自分のやりたいことが地域貢献につながって、人の役に立つ、人に求められるような存在になれればなと思っています。
最後に移住を考えている人に向けてメッセージをください。
鳴門と聞くと海のイメージが強いですが、山もあってロケーションは抜群です。かといって田舎なのかというとそうでもなくて、生活に便利な市街地も近くて生活面では不自由ない生活がおくれます。関西圏からアクセスがいいので、いつでも帰ることができる、駄目なら帰ったらいいと考えると肩の力が抜けて、色んな挑戦ができるんじゃないかと思います。自分らしい生き方や、新しいチャレンジをしたい方にはぜひ移住してもらいたいです。